漆器のお椀や箸が並ぶ山田平安堂の店内

漆器に興味を持って生活に取り入れようと思った時、お店を訪れてみたり、調べてみればみるほど、どんな漆器を手に取ろうか迷ってしまいますよね。愛着が湧く形のもの、お手入れが簡単なもの、自分の好きな食材が一層美味しくなりそうなもの。色々な基準があるかと思いますが、今回は漆の特製を存分に楽しめて、毎日のようにお使い頂ける漆器をご紹介いたします。

永く使える、本漆塗りがおすすめです。

漆器に使われる塗料には、いくつか種類がございます。漆の木の樹液だけを使用した『漆(本漆)』、漆に合成樹脂を加えた『合成漆』、漆のような仕上がりで比較的安価な『カシュー塗』や『ウレタン塗』。

それぞれ良い点はありますが、日々お使い頂くこと経年変化を重ねていき、最も永くお使い頂けるのは、やはり『本漆』の漆器です。

ウレタン塗り、また合成漆は、いずれも多少の溶剤を混ぜ合わせたもので、塗料を塗った時点で完結しているため、良くも悪くも、経年変化は殆どないものが一般的です。

カシュー塗りは漆器と同様に経年変化するものもございますが、より耐久性が高いものは、『本漆』の漆器となります。

初めての漆器を選ぶにあたって、漆について学んだり、自分の生活を見直してみたり、時間をかける方も多いのではないでしょうか。最初に買った器をいつまでも使い続けることができるのが、漆器の魅力の1つです。ぜひ、永くお使い頂ける、本漆の漆器をお選び下さい。

実は丈夫で気軽な漆器。

漆器が並ぶ山田平安堂の店内

漆器。漆芸品。伝統工芸として受け継がれてきた漆塗りで仕上げられた一品は、どれも美しいものばかり。扱い方を覚えれば扱いやすいと様々な媒体で語られますが、初めて手に取るまでは、どこか敷居の高さを感じてしまいますよね。でも、漆が扱われてきた歴史を見ると、驚くほど丈夫なものであったことが分かります。

日本の各地で石器時代の矢の根石が見つけられるが、それを調べてみると、当時の人々は、硬石で矢尻を作り、竹の棒を割って、それをはめ、はめ口の部分を藤蔓(ふじづる)などの皮で巻きしばり、それへ漆を吸い込ませたらしい。漆の滲み込んだ部分だけは腐らずに残っていて、藤蔓や竹を使ったことがわかるわけで、漆は光沢もちゃんと残っている。
松田 権六『うるしの話』(岩波書店、二〇〇一年) 一三頁

先年、東北地方では、縄文土器といっしょに、朱漆や黒漆を塗った刳(く)りぬき椀や、竹で編んで漆を塗った器や、漆を塗った櫛や耳飾りや、漆塗の丸木の弓や、竹籠なども見つかった。
松田 権六『うるしの話』(岩波書店、二〇〇一年) 一三頁

漆は、数千年も前から塗料や接着剤として、日本人の生活に根付いていました。石器時代に漆が使われた日用品が、漆の光沢を残して出土するほど、劣化しにくい素材です。それもそのはず、漆は耐酸性、耐アルカリ性、耐水性に優れ、天然の塗料、接着剤としては最強といわれるほど。もちろん、取り扱う上で気をつけるべきことはありますが、毎日の食卓に並べる食器としてお使い頂くにあたっても、丈夫で頼れる存在です。

一番の手入れは、毎日使うこと

朱漆のグラデーションが美しい、使い込まれ、経年変化した漆器の箸入れ

漆器をお使い頂く上で気をつけることはいくつかございますが、毎日、お使い頂くこともまた、漆器にとって大切なお手入れとなります。食器としてお使い頂いたあと、洗って、拭く。これらが繰り返されることで、漆器に少しずつ水分が行き渡り、美しい経年変化を見せるようになります。

漆塗りの食器を取り扱い方

極めて美術性の高い漆器を除いて、つまり、普通の漆器は全て、通常の食器同様『 スポンジ 』 と 『 洗剤 』で、お手入れをして頂いて構いません。基本的な知識としては以下の内容で十分です。

  • 『食器用洗剤』と『やわらかいスポンジ』で、水または、ぬるま湯で洗ってください。
  • 『 つけ置き 』 も大丈夫ですが、あまりの長時間(一晩中など)は避けてください。
  • 『 乾拭き(からぶき)』 は効果的です。水滴の跡が残らず、次回に気持ち良く使えます。漆に対しても優しい作業です。
  • 『 食器洗浄器・乾燥器 』 でのご利用は避けてください。極端な温度変化により、漆の劣化が早くなります。
  • 『 直火、オーブン、電子レンジ』?のご使用はお止めください。
  • 『 金属製のカトラリー 』 と器を併用する際は、器を傷つけてしまう可能性があるため、十分にお気をつけ下さい。

油の多い食品でなければ、水洗いでも汚れを落とすことができる漆器。もしご家庭で食洗機を使用しているのであれば、食洗機を動かしている間に、漆器をさっと手洗いし、乾拭きしてください。毎日ほんの少し器に向き合うだけで、ご飯はより美味しくなり、一層漆の美しさが際立っていきます。

初めての方へ、おすすめの漆器ランキングTOP3

初めての方へ、おすすめの漆器ランキングTOP3

漆器を食卓に迎える上で知っておきたいことが、簡単に整理できましたでしょうか。

ここからは、漆塗りの食器が欲しいけど、何を最初に買おうかな・・・とお悩みの方へ、おすすめの食器を三種類、お選びしました。ランキング形式でご紹介しておりますので、ご参考頂けましたら幸いです。

【1位】汁椀・・・熱々のお味噌汁が、熱くない。

漆器の汁椀

お味噌汁をいれた器を持つとき、熱い器の上縁を指先でつまむようにして持つことはございませんか?

それは、本来、陶磁器は椀には不向きであるという証拠かもしれません。漆器のお椀は、出来たてのお味噌汁を入れても、優しいぬくもりを感じながら手のひらで椀の側面を持つことができます。

木製の器に丁寧に漆を塗り重ねた汁椀は、漆器の口当たりの優しさと、熱いものは冷めにくく、冷たいものは冷たいままに楽しめる漆器の特性を存分に味わえる、初めての漆の食器にぴったりの一品です。

「塗分」という技法で色合いを表現したバイカラーな汁椀

「塗分」という技法で色合いを表現した汁椀。

汁椀 塗分
食卓に華やかさを与えてくれるような、漆ならではの朱と黒のグラデーションが特徴的な一品。

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職人が「薄挽(うすびき)」という伝統技法で作る一品。

職人が「薄挽(うすびき)」という伝統技法で作る一品。

汁椀 薄挽 木地溜
鮮やかな漆の手触りや、【薄挽き(うすびき)】の技法による独特な口当たりの良さなど、熟練した職人技を五感で味わえる一品です。

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【2位】めし椀・・・お米がもっと美味しくなる。

【2位】めし椀・・・お米がもっと美味しくなる。

お米がもっと美味しくなる器、それがうちの「めし椀」なんです。
引用元:『漆器 山田平安堂』公式オンラインショップ(WEB本店)

日本の食卓において、器を手にとって頂くのは、お味噌汁、そして、お米。炊きたてのご飯に喜びを感じる方には、ぜひ、”めし椀”をおすすめいたします。汁椀よりも口が広く浅い形状になっているので、お箸の出し入れがしやすく、おかずを合わせる際も使いやすいお作りになっています。保温性が高い漆器の特性を活かし、炊きたてのご飯を、ごゆっくりお楽しみください。

黒みがかった風合いの「神代」、朱漆をすり込んだ「あかね」

黒みがかった風合いの「神代」、朱漆をすり込んだ「あかね」

めし椀 欅平 神代・あかね
「すり漆」により木目を活かした、素朴な一品。いつもそばに置いておきたくなるような、シンプルな佇まいが魅力です。

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頑強な天然木素材「欅(けやき)」の木目が美しい、職人技が光る一品。

頑強な天然木素材「欅(けやき)」の木目が美しい、職人技が光る一品。

めし椀 薄挽 木地溜
厚さわずか数ミリ。でも、炊きたてのご飯をよそったお椀を手にとっても、熱くない。また、木製のお椀は料理が冷めにくいので、熱々のご飯がお好きな方におすすめです。

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【3位】お箸・・・口当たりが良く、扱いやすい、漆のお箸

漆器の箸

私が初めて手にした漆塗りの一品は、お箸です。一人暮らしを始めるにあたって、何か1つ、漆器を買おうと決めていたものの、何にしようか悩んでいました。食事もお弁当を買ってきて済ませてしまうことが多く、ご飯とお味噌汁をきちんと用意して・・・という機会もあまりなく、カトラリーも殆どが金属製。それでも毎日使う漆器が欲しいと思い、辿り着いた答えが、漆塗りのお箸でした。

お箸ならどんな食器にもお使い頂けますし、漆ならではの口当たりの優しさもお楽しみ頂けます。食事によっては水洗いだけで済ませることができるので、取り扱いも非常に簡単で、今もそのお箸を使い続けています。

まずは一番身近なお箸から、漆器を取り入れてみるのもおすすめです。

夫婦揃って使う幸せを。手元華やぐ老舗の技

夫婦箸 金線
シンプルな夫婦箸。持ち手に入った金線の美しさに、職人の技を感じる一品です。

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国産の木材を職人が手で削り、漆で塗り上げた一品

国産の木材を職人が手で削り、漆で塗り上げた一品

箸 刷毛目
「鉄木」と呼ばれる天然の国産木素材を、一つ一つ職人が五角形上に削り出して作られるお箸。漆の優しい光沢と、手入れのしやすさをお楽しみください。

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まとめ

身近な存在として、歴史はなんと石器時代から、親しまれてきた日本の漆器。無理な扱いさえしなければ、末永く付き合っていける、大切な存在となります。様々な種類の漆器の中から、ぜひ、お気に入りの一品を見つけてくださいね。