古くから、日本の食卓に彩りを添えてきた「漆器」。
最近ではプラスチックの器も増えたことから、漆器を手にする機会も減っているのではないでしょうか。
漆器は伝統的なもの、というイメージから、なんとなく「お手入れが大変そう」「使うタイミングがわからない」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、実は漆器の取り扱いはそんなに難しくありません。
いくつかの基本的なルールさえ守れば、陶磁器やガラスの器よりもお手入れが簡単!という声もあるくらいです。
こちらの記事では、食器としての漆器の魅力や、簡単なお手入れの方法などをご紹介しています。
漆器のある食卓を通じて、より豊かな日常を楽しむ。
そんなお手伝いをさせていただけましたら幸いです。
創業1919年、漆器専門店「山田平安堂」の現役スタッフ。山田平安堂は、宮内庁御用達としても知られるほか、各国大使館や外務省にも漆器を納めているブランドです。東京・代官山に本店があり、自宅用からギフト用まで幅広い漆器を取り揃えています。
軽やかで、割れにくい。ベビーから大人まで使える漆器の魅力
日本を代表する伝統工芸品、「漆器」。
英語で「japan」と呼ばれるほど、漆器は日本を代表する伝統工芸品として知られています。
「磁器=china」「漆器=japan」と呼ばれています。
中には熱心なコレクターがいるほど、奥が深い漆器の世界ですが、元は日常的な食事の器として使われてきました。
大人から赤ちゃんまで、料理を楽しむ器としての漆器の魅力をお伝えします。
料理を美味しくいただく、“保温性”のある漆器
※上の画像は漆器の「めし椀」。保温性の高い漆器は、炊き立てのごはんをいただくのにもぴったり。手も熱くなりません。
漆器とは一般的に、木の器に漆の樹液を塗ったもの。
木製の器は軽く、陶磁器やガラス、金属に比べて熱を伝えづらいという特徴があります。
そのため、漆器に盛ると、熱い料理はあつあつのまま、冷たい料理はひんやりとしたまま。
それぞれの料理に適した温度を、長く楽しむことができますよ。
自然素材×抗菌作用。安心のベビー食器としても
漆器のもう一つの特徴は、天然素材であり、自然の抗菌作用もあること。
口に入れても安心のため、大切なベビーの初めての器として、漆器を選ぶ方もいらっしゃいます。
また、床に落としてしまっても滅多に割れないため、お子様からお年寄りの方まで安心して使うことができます。
さっと洗って、おしまい。漆器のお手入れはとても簡単
「漆器」というと、なんとなく取り扱いが難しそうなイメージがありますよね。
でも、漆器に特別なお手入れはいりません。
食器洗浄機や乾燥機の使用は控えたほうが望ましいですが、手洗いをする分には普通の食器とほぼ変わらないお手入れで大丈夫です。
もともと、漆器は人の日常に寄り添うものですから、お手入れも負担にならないのが嬉しいですね。
漆器は洗剤とスポンジでお手入れできる
漆器は一般的な家庭のスポンジと食器用の中性洗剤で洗うことができます。
もし汚れがこびりついている場合は、強くこすらずにぬるま湯か水にしばらくつけておくと良いでしょう。
より長持ちさせるには、柔らかい布で軽く拭いて
洗った後は、自然乾燥でも良いですが、布でからぶきするとより丁寧です。
清潔で柔らかい布でそっと拭くことで、水跡が残らず、漆器の艶も良くなります。
日常的に使うことが一番のお手入れ
漆器の一番のお手入れは、日常的に料理を盛ったり、洗ったりして使うこと。
漆器は乾燥に弱いため、しまい込んでしまうと変形したり破損する可能性があります。
重箱など、出番が少ない漆器も、一年に一回は取り出して使ってあげることが大切です。
また、食器棚にしまっておく時は、漆器同士で重ねるのが良いでしょう。
器どうしがこすれて傷がつくことが心配な場合は、間にティッシュを敷くと防ぐことができます。
漆器の上に陶器を重ねると、底の部分がこすれて傷になってしまうことがあります。陶器と一緒にしまう場合は、陶器を下にすると安心です。
漆器の良さは、永く愛用するほどに引き立つ
料理を楽しむ器として、とても優秀な漆器。
さらに漆器は、永く使うほどに良さが引き立つ秘密があります。
丈夫で長持ち。漆器は劣化しにくい
漆は水分量が多いため、下地となる木肌にしっかりと吸い付きます。
そのため、非常にはがれにくく、劣化しにくいというメリットがあります。
ふっくらと高級感のある“肉持ち”の良さは、漆器ならではの特徴です。
また、漆は自然界で最も強い素材の一つと言われており、熱湯や酸・アルカリに対しても耐性があります。
油にも強いので、毎日の食事で気軽に使うことができますよ。
使えば使うほど、底艶が深まる
漆器の魅力である、美しい艶。
実は、使えば使うほどに、艶が増していくという特徴があります。
こちらは、溜塗のお椀。使ううちに、しっとりとした艶と透明感が増していきます。
漆はもともと褐色。人の手や空気に触れることにより、少しずつ透明に変化していきます。
日常的に使うことで、奥行と透明感のある、底から輝くような艶を感じることができるようになるのです。
表情の変化を楽しむことができるのも、漆器の魅力の一つではないでしょうか。
はじめての漆器なら。選び方とおすすめ3選
これから、はじめての漆器を選ぼうとしている場合は、「まず何を揃えたらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここからは、漆器の選び方をご紹介していきます。
日常使いをするなら、ライフスタイルに合う漆器を
はじめての漆器を選ぶ場合のポイントは、毎日使えそうな器を選ぶこと。
食器棚で眠ることにならないよう、以下のポイントに注目して選んでみましょう。
使用頻度の高い漆器を選ぶ
1人暮らしの方なら、丼ごはんや麺類をさっと盛れる「大椀」。
ご夫婦なら、毎日使う「お味噌汁椀」。
人数が多いご家庭では、家族の真ん中に置く「大皿」や「煮物皿」など。
日々の食事を思い浮かべて、使う回数が多そうな漆器を選ぶのがポイントです。
テーブルに合う漆器を選ぶ
せっかく選んだ漆器でも、手持ちの食器と合わないと出番が減ってしまいますよね。
テーブルコーディネートを考えて選ぶと、永く愛用することができそうです。
自分が気に入った漆器を選ぶ
一番大切なのは、自分が気に入った漆器を選ぶこと。
お気に入りの器は、使っていて楽しい気持ちになりますし、なにより食事も美味しくいただけそうです。
毎日使いたい、漆器の汁椀
はじめて漆器を手にする方にまずおすすめしたいのは、漆器の汁椀。
手と口に触れるものだからこそ、木の温もりや、漆ならではのまろやかな塗りを肌で感じていただくことができます。
毎日使ううちに、変化していく表情もともにお楽しみください。
おすすめの「汁椀」3選
軽やかな漆器の大皿を、家族の真ん中に
漆器の大皿は、一枚あれば家族みんなで使えるのでおすすめです。
食卓の真ん中に置くだけで、いつもとちょっと違ったテーブルコーディネートを楽しむことができますね。
また陶器やガラスの大皿に比べて軽いため、盛り付けたり運んだりするのも簡単です。
おすすめの「大皿」3選
漆器のスプーンなら、口当たりが優しい
もっと気軽に漆器を使い始めたい、という方におすすめなのは、漆器のスプーン。
温度変化が少ないため、金属製のスプーンだと「熱くて食べられない」という方にもぴったり。
漆器ならではの口当たりの優しさと滑らかさは、お箸に慣れている日本人にはなじみやすく、一度使ったらやみつきになること間違いありません。
また、天然の抗菌作用もある漆器は、口に入れる素材として安心ですね。
おすすめの「スプーン」3選
まとめ
意外と簡単に、日常に取り入れることができる「漆器」。
山田平安堂のWEBサイトでは、より詳しい漆器のお手入れ方法や、ギフトにおすすめの漆器など、さまざまなコンテンツをご紹介しております。
よろしければ、そちらも参考にしてみてくださいね。