和服を身に纏った後の最後の仕上げとして、かんざしのヘアアレンジが美しくきまると、趣ある町並みを歩く瞬間が、今か今かと待ち遠しくなりますよね。
和服はもちろん、洋服でも、かんざしを使ったヘアアレンジが馴染む日本人。その相性の良さは、日本人がかんざしを使ってきた歴史の長さが証明しています。
日本の伝統的な装飾美である、蒔絵(まきえ)の施された、お出かけが一層楽しみになるようなかんざしをご紹介いたします。
日本人と、簪(かんざし)の歴史。
かんざしというと和服のイメージが強いかと思います。しかしながら、かんざしの歴史は日本人が和服(着物)を身に纏うよりもはるか昔、なんと縄文時代にまで遡ります。
縄文時代、冬でも青々と輝く木々の力に感動した人々が木の枝を髪にさしたのが始まりと言われています。古来の人にとって、それは自分に自然の力を与えてくれる、大切なお守りのような存在だったのかもしれません。
色とりどりの花、神秘的な日月、そして季節の風物詩。かつての日本人が愛でてきた風景をモチーフにしたかんざしは、いつしか成人の儀や結婚を機に、母から娘へと代々受け継がれる・・・そういった「思い出の品」として尊ばれるようになりました。
和服を着るのが楽しみになる、蒔絵のかんざし
日本の伝統的な装飾美である、蒔絵(まきえ)のほどこされたかんざしを見ていると、和服を着る瞬間が一層楽しみになります。作り帯は使わずに自分で帯を結びあげていく瞬間に気分が高まるように、少し手間をかけながら美しいかんざしで髪を結い上げる楽しみは、他では変えられないもの。
蒔絵とは、漆器に漆を用いて絵や文様を描き、金銀粉を蒔いた後、さらに磨き上げる漆芸を代表する伝統技法のことを言います。
19世紀、パリで行われた万博において西欧の人々に日本の芸術、日本の文化力を知らしめたと言われるのが、この蒔絵という技法です。
平安の雅を愛した貴族、時代を謳歌した豪族、武家たち・・・。そして、言葉も文化も精通してなかったかつての西欧の人々の心をも魅了した、精巧で華やかな蒔絵の美。蒔絵のかんざしは、そんな日本が誇る普遍的な美を手元で楽しめる贅沢な一品です。
艶やかに光る黒い塗装面に、重厚な黄金の輝きが映える蒔絵、また彩り鮮やかな螺鈿の漆工芸は、とくにヨーロッパの富裕層のあいだで評判となり、日本という東方の未知の国を象徴する物品として珍重された。一七世紀から一八世紀の文献に登場する「ジャパン japan」の語は、広義の塗物を意味するが、それは、このような日本製漆器愛好を背景としている。
国立歴史民俗博物館『企画展示 URUSHIふしぎ物語 -人と漆の12000年史-』(歴史民俗博物館振興会、二〇一七)一八七頁
おすすめの蒔絵かんざし5選
ここからは、おすすめの蒔絵が美しいかんざしをご紹介いたします。お手持ちの着物や浴衣を身に纏って出かけるのが楽しみになるような、お気に入りの柄のかんざしをお探し下さい。
【山田平安堂】扇かんざし 梅小紋/もみじ
柄から先にかけて広がるようなかたちの「扇かんざし」。扇が開いたように、ぱっと目に飛び込む華やかさが美しいデザイン。
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【山田平安堂】波かんざし 槍梅
ゆらめくように、たゆたう形の「波かんざり」。丸みを帯びた曲線のデザインは、ウェーブがかった髪にもおすすめ。
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【山田平安堂】小枝かんざし 桜小紋 朱/黒/白
ほっそりとしたボディに蒔絵を施した「小枝かんざし」。女性の細やかな美しさを引き出してくれそう。
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【かづら清老舗】本漆純金蒔絵螺鈿かんざし アールヌーボー唐草文様(黒)
丸みと曲線が美しい、珍しい形のかんざし。蒔絵で描かれた美しい唐草模様に、小さくも貝殻の美しい、螺鈿(らでん)の装飾がポイントになっている。
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【HIGAKI】扇かんざし 銀杏型
蒔絵のしっとりとした色合いが美しい、桔梗を描いた気品溢れる扇型のかんざし。
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まとめ
昔から日本人にとって身近な存在であったかんざし。フォーマルなシーンだけでなく、日常使いに取り入れることで、一日を華やかな気分で過ごすことができます。ヘアアレンジの方法が分からない方は、様々な動画を参考にしてみてください。