お目出度いことを重ねる、という意味を込めて大切に扱われてきた「お重箱」。家族皆で迎えるお祝いの席の中心にお重箱を置き、色とりどりの料理を取り分けていく。いつもの食卓であっても華やかな雰囲気が漂うのは、何よりも、家族で大切に扱われてきた「器」だから。
実はお手入れも簡単で洗いやすい重箱は、お正月やお花見といった特別な機会だけでなく、家族での細やかなお祝い事など、日常的にも取り入れやすい器です。また、漆塗りの重箱は雑菌の繁殖を抑えたり、保湿、保温性が優れたりと、外へ持ち出す家族のお弁当箱、としても優秀です。
家族で過ごす大切な時間の片隅に、漆の重箱を。
日常使いにも最適。家族皆のお弁当箱のように使う重箱。
「最後にお重箱を使ったのはいつだっけ」
お正月に使っては物置や蔵の奥にしまってしまい、何年も使っていなかったり・・・。一つ一つ丁寧に和紙で包み桐箱に入れないといけない、など、漆塗りの重箱に対して、どこか敷居の高いイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
年に1,2回しか出番が無いと思ってしまうと、なかなか手を伸ばしにくい重箱。実は、そのシンプルな形故に洗いやすく、お手入れも簡単なので、日常使いしやすい器の一つです。家族のためのお弁当箱と考えると、その取り入れやすさをイメージしやすいのではないでしょうか。
重箱は、お正月の特別なものというイメージが強いけれど、いわゆる弁当箱が一人のためのものだとすると、重箱は家族のためのお弁当箱。たとえば、運動会やお花見なんかで家族で外で食べるとき、それからお彼岸におはぎを詰めて、親戚に配るとき、友達の家に呼ばれてお惣菜を詰めて持っていったり。
赤木 明登、日置 武晴、高橋 みどり『毎日つかう漆のうつわ』(新潮社、二〇〇七)九十一頁
見た目は美しく、料理に優しく、永く使える。漆の重箱。
何度も使って、何年経っても美しい佇まいの重箱は、時を重ねるごとに家族の中でかけがえのない存在へと育っていきます。
漆塗りの重箱でしたら、洗う際は水かぬるま湯で汚れを落とし、ぎゅっと乾拭きする。シンプルなお重箱は洗いやすいので、そういった簡単なお手入れを重ねることで、漆ならではの美しさが際立っていきます。
また、漆の特性上、雑菌の繁殖を抑え、ある程度の保湿性及び保温性がありますので、外へ持ち出す際も料理を美味しく頂くことができます。
こちらの動画では、木製の素地に漆を塗って重箱を仕上げる一連の技が動画に収められています。
重箱が活躍する、様々なシーン。
改めて重箱をお使い頂けるようなシーンを整理すると、お重箱の多様な使い道が見えてきます。今年は、お重箱と共にお祝い事を迎えてみてはいかがでしょうか。
・お正月・・・おせち、節句料理
・行楽・・・お花見、運動会、ピクニック
・ホームパーティー、お呼ばれの席
漆の重箱、5選
ここからは、おすすめの漆の重箱を5つご紹介いたします。
シンプルなものは和洋併せて様々なシーンで取り入れやすく、華やかな柄のものは、お重箱一つで場の雰囲気を一変させてくれるような魅力がございます。家族や大切の方と過ごす、瞬間がいくつも思い浮かぶような一品を見つけてください。
【山田平安堂】六角三段重 朱塗(取皿4枚付)
艶やかな朱色が目立つ、六角の三段重。和風だけでなく、洋風おせちにもマッチし、テーブルコーデも華やかになります。
【津軽塗 唐塗】 重箱6寸赤上
天然の木材を、轆轤を回し削り出して作られた重箱。唐塗による華やかな佇まいと、食欲を引き立てる内側の朱色が特徴的。
【川連塗】 三段重 蓋2枚付
重箱の中では珍しい長方形のデザイン。銘々皿(取り皿)を備えており、外に持ち出しやすいコンパクトさも魅力。特別な時間を感じさせる深みのある黒と朱漆の仕上がり。
【山田平安堂】 二段重 白檀
独特な深みのある飴色を表現した市松模様の重箱は、使うほどに鮮やかな色を放ちます。
【漆器久太郎】三段重箱 アールデコ ホワイト5.5寸
漆器には珍しい「アールデコ調」の模様を添えたお重箱。モダンでシンプルな佇まいなので、日常使いにも取り入れやすい。
まとめ
重箱はブランドや商品によって大きさが異なるので、重箱の容量と段数に注意してください。
何代にも渡って使い続けることが出来るものですから、気に入った作品でわからないことがあれば、工房の方に直接質問してみるのも良いでしょう。