我戸幹男商店の漆椀、TSUMUGI、富士

新しいデザインの漆器や、何か一ひねり加えたお椀などを探すのであれば、グッドデザイン賞を受賞した漆器を検討してみるのがおすすめです。

これまで漆器に触れてこなかった方はもちろん、漆器好きの方にも新鮮なコンセプトで作られたものなど、様々な作品がグッドデザイン賞を受賞してきました。

日本の漆文化の未来を担う、今の時代だからこそ生まれた漆器をご覧ください。

グッドデザイン賞(GOOD DESIGN AWARD)とは

GOOD DESIGN AWARD
画像引用元:GOOD DESIGN AWARD

グッドデザイン賞とは、1957年に創設された、モノやサービスなどデザインのあらゆる領域を対象に審査が行われ、私たちの暮らし、産業、社会全体をより豊かなものへと導くことを目的としています。

 

選考対象・・・有形無形を問わず、成果物とその背景まで総合的に評価

グッドデザイン賞の対象は、モノやサービスなど最終的な成果物のみならず、制作の裏側にある思想やプロセスなどにも及び、総合的な判断が行われています。グッドデザイン賞の理念として、次のような言葉が掲げられています。

人間(HUMANITY)もの・ことづくりを導く創発力
本質(HONESTY)現代社会に対する洞察力
創造(INNOVATION)未来を切り開く構想力
魅力(ESTHETICS)豊かな生活文化を想起させる想像力
倫理(ETHICS)社会・環境をかたちづくる思考力

これらを一つの文章にすると、「人間のために、高い倫理性を踏まえ、ものごとの本質を見据えたうえで、魅力的な創造活動をおこなうこと」となります。追求される豊かさの質が如何に変化するにせよ、この思想は普遍です。
引用元:GOOD DESIGN AWARD

 

グッドデザイン賞を受賞した漆器(2013~2017)

我戸幹男商店の漆椀、TSUMUGI、富士

2016年度グッドデザイン賞受賞:我戸幹男商店の漆椀、TSUMUGI、富士 (筆者私物)

ここからは、グッドデザイン賞を受賞した漆器を、2017年までの5年間に受賞し、現在(2017年10月)も販売されているものをご紹介いたします。特に注目して頂きたいのが、漆器の定番であるお椀。新しいデザインを試みたものや、お椀のポテンシャルを独自の視点で問い直すものなど、お椀が持つ可能性を感じる作品ばかりですよ。

 

2017年度受賞:食器 [SHIZQ](神山しずくプロジェクト)

食器 [SHIZQ](神山しずくプロジェクト)

徳島県神山町の山や水源を守る為のプロジェクトで、2013年に始まった事業を継続的なものにするべく開発された、杉を材料とした食器ブランドです。本来商品化には向いていないとされる杉ですが、製法を工夫することで強度を上げており、杉ならではの高い保温性や口当たりの柔らかさ、何より軽さを実現しています。写真は、五層拭き漆仕上げの「亀シリーズ」。

神山しずくプロジェクト はこちらから>>>

画像引用元:GOOD DESIGN AWARD

 

2016年度受賞:椀 [つむぎ](株式会社我戸幹男商店)

450年続く漆器の産地である山中漆器に古来より伝わる10型の汁椀を、伝統的な轆轤技術によって改めてデザインした作品です。生産性を高めるためにものづくりの仕組みを整備し直したり、若手職人が世に出るための負担を減らす工夫がなされていたりと、漆器の生産過程を含め、“デザインすること”の重要性を問い直すような試みです。

我戸幹男商店 はこちらから>>>

画像引用元:GOOD DESIGN AWARD

 

2015年度受賞:漆器 [めぐる](漆とロック株式会社)

漆器 [めぐる](株式会社明天)

漆器が持つ心地よい肌触りや口触りなど、感覚的な心地良さを徹底的に追及し、視覚障がい者と職人が徹底的に対話を積み重ねることで生まれたお椀です。売上の一部が会津での漆の植栽活動へ寄付されるなど、日本の漆文化を次世代へ受け継ぐための仕組み作りも兼ねています。

漆器『めぐる』公式サイト はこちらから>>>

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2014年度受賞:漆器 [「椀」](オークヴィレッジ株式会社)

漆器 [「椀」](オークヴィレッジ株式会社)

拭き漆で仕上げた木目の美しいシンプルな汁椀ですが、その魅力はお椀だけにとどまりません。お椀を手に取った人が日本の漆文化に触れ、漆器を塗りなおし末永く使うことができるよう、漆についての小冊子と、塗り直し券の3点で構成されています。モノに手をかけて、愛着を持って使い続けることができる、漆器だからこそ学べる体験と、漆器そのものの魅力が深まる仕組みが一つになったデザインです。

「椀」|オークヴィレッジオンラインショップ はこちらから>>>

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2014年度受賞:食器 [楽膳シリーズ](合同会社楽膳)

食器 [楽膳シリーズ](合同会社楽膳)

食器 [楽膳シリーズ](合同会社楽膳)

底に特徴のあるかわいらしいお椀です。障がいのある方にも使いやすい形を追及し、底のくぼみに自然と指がかかることで、指の力が弱い方でも手の中にしっかりとお椀を収めることができます。職人が手掛ける高級漆器として販売することで、介護用品やユニバーサル製品のイメージを一新する試みも兼ねています。

 

持ちやすい 楽膳椀 – RAKUZEN はこちらから>>>

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2014年度受賞: [aeru こぼしにくいコップ](株式会社和える)

コップ [aeru こぼしにくいコップ](株式会社和える)

コップ [aeru こぼしにくいコップ](株式会社和える)

あえて取っ手をつけないことで、子どもが自発的に両手で持ちたくなるようデザインされたコップです。大人になっても愛着を持てるようにと想いの込められた、職人の丁寧な仕事を感じる仕上がり、日本の伝統産業を守り、若い職人を育てるための試みなど、子どもの手のひらサイズのコップにその何倍もの大きさの想いが込められています。

 

青森県から津軽塗りのこぼしにくいコップ aeruオンライン直営店 はこちらから>>>

画像引用元:GOOD DESIGN AWARD

 

2013年度受賞: [aeru こぼしにくい器](株式会社和える)

[aeru こぼしにくい器](株式会社和える)

お皿の内側に一工夫加えることで、スプーンを使い始めた子どもでも食事を楽しめる、『こぼしにくい器』。家族で食事を楽しみながら、幼少期から日本の伝統的で丁寧なモノづくりに触れることで、“審美眼”や“モノを大切に扱う心”が養われていくデザインです。

『こぼしにくい器』aeruオンライン直営店 はこちらから>>>

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まとめ

日本の伝統工芸の中でも、漆器は特に長い歴史をもっています。それゆえ、完成された文化のように思われることもありますが、時代に合わせて進化し続けています。

“漆”を木から採取する瞬間から、一つの漆器が完成するに至るまで、人の手なくして完成することのない漆器。それゆえ、デザイナー、職人の感性や思想が形となって表れやすいのかもしれません。人の多様性が、漆器の多様性を生むのでしょう。だからこそ、デザインだけでなく、その漆器が作られた背景にまで共感できる作品に出会えたら、こんなに素敵なことはありません。

お気に入りの漆器を見つけたら、その漆器に込められた想いについても調べてみてください。きっと、共感できる何かがあるはずです。