国立歴史民俗博物館で行われた企画展示「URUSHIふしぎ物語-人と漆の12000年史-」のエントランスにて。手前に展示されているのは、紫外線により漆の硬化時間を短縮し、様々な素材を塗装できるようになった最新の塗料、『含漆UV塗料』が使用された、含(がん)漆(しつ)UV塗装カー。
漆について学び始めると、貴重な作品の展示が行われていたり、若い職人の感性が取り入れられた新しいブランドが生まれていたり、今ならではの漆器の情報に触れることも多いのではないでしょうか。
何千年も前から日本人の生活に溶け込んでいる漆器。その面白さの理由には、時代を超えても変わらない部分と、時代に合わせて変わりゆく部分の、両方が共存しています。例えば、伝統的な形のお椀には、世代を超えた知恵が積み重なった完成形としての魅力があります。一方で、その時代に生きる職人の感性が行き渡るお椀には、“今”の生活に溶け込む輝きがあります。
古きを学び、今を見つめることで、新しい漆器の魅力を見つけてください。きっと、いつも使っている漆のお椀から感じるものが、より豊かなものになるはずです。
インターネットで漆器の最新情報を手に入れるには
金沢美術工芸大学・東京藝術大学 工芸科合同展示「金藝展」にて、漆の作品の一部。(上段中央より時計回りに、「ハジケタイ / 荒木千晶さん」「ジャパニーズ / 吉野真央さん」「御袋 / 藤中康輝さん」「記憶 / 下村史さん」「樹肌のうつわ / 藤田柚子さん」)
漆器を取り扱っている工房が小さなものであったり、漆器の展示の告知が大体的に行われていない場合、インターネット上で漆器の情報を手に入れるには、ちょっとしたコツが必要です。
裏を返せば、コツを掴むことで貴重な展示の情報を知ることができたり、まだまだ世の中に知られていない、素敵な漆器を見つけることができます。
以下の方法を参考に、新しい漆器の世界を見つけてみてください。
※2024年1月時点で筆者が最適だと考えている方法となります。
検索エンジン(Yahoo! JAPAN、Googleなど)を使うなら、日付の期間指定が大切!
得られやすい情報:ニュース、展示会情報、体験会、漆器ブランド
漆器を検索エンジン(Yahoo! JAPAN、Googleなど)で検索する際、日付の期間指定を加えると、最新の情報が表示されやすくなります。漆器に関する最新のニュースであったり、展示会の情報を手に入れたい時におすすめです。むしろ、体験会などは期間指定しないと過去のものが出てきて参考になりません。
また、ニュースそのものを検索するのもおすすめです。小さな工房の体験会などは表示されないものの、規模の大きな展示会などはもちろん、最新の研究であったり、地方紙による取材記事など、漆業界の幅広いニュースを取り集めることができます。
一方で、新しい漆器ブランドの情報については、すぐに検索結果に出現するとは限りません。報道機関が取り上げてニュースになっている場合など例外はありますが、小さな工房で自主発信のみブランドなどを探し出すのは、根気のいる作業となります。画像検索を駆使して、これは!という器をクリックしてみるのが良いでしょう。
Yahoo! JAPANで漆器の最新情報を検索する例
●日付の期間指定
●ニュースを検索
●画像検索
Googleで漆器の最新情報を検索する例
●日付の期間指定
●ニュースを検索
●画像検索
SNS(Facebook、instagram、twitterなど)で、新しいブランドを発見
得られやすい情報:漆器ブランド、展示会情報
自主発信が容易に行えるSNSでは、新しいブランドほど積極的な情報発信を行っている可能性があります。また、画像検索によって自分のライフスタイルに合った器を見つけやすいのも特徴ですね。展示会や新しいお店のオープンといった情報も仕入れやすいです。
一番のおすすめはFacebook
Facebook検索の良いところは、文章と画像を兼ね備えた投稿を一気に見ることができることです。シンプルな器にも、職人の思いがつまっているのが漆器。写真だけとなると、どうしても埋もれてしまう作品もあります。漆の木から樹液を採取している様子や、器の製造課程などが、職人の声と一緒に公開されていることもありますよ。
素敵な作品が見つかるinstagram
自分の感性に近い漆の器を探す時は、instagramで調べてみましょう。テーブルコーディネートの一部として漆器を取り入れている写真も多く、今の食卓に取り入れるなら、という点でも参考になるはずです。
展示会など、思わぬ情報に出会えるtwitter
twitterは画像よりも文字情報に優れているので、展示会などイベントの情報を拾いやすいのが特徴です。
大規模な展示会は、組合のホームページもチェック
得られやすい情報:展示会情報、体験会
組合と大学などの研究機関による展示や、様々なブランドの器が集結する販売会などは、各種組合のホームページで告知されています。複数の異なる背景を持つ作品を一挙に見れる貴重な機会は、漆器ファンであればチェックしておきたいところ。展示会がメディアに取り上げられると一気に客数が増えることもあるので、早めにチェックしておくことで、余裕を持って展示を回れるかもしれません。また、展示の内容が収録された図録は、資料としても読み応えがありますよ。
一般社団法人日本漆工協会
精漆・素材・生産・漆芸・流通・愛好家など、漆に携わる様々な会員の方々の参画を得て、漆工界全般の振興・育成・発展に寄与することを目的として活動してまいりました。
日本漆器協同組合連合会
日本漆器協同組合連合会のホームページは、全国の漆器産地17組合の活動などを紹介しているポータルサイトです。
日本文化財漆協会
日本文化財漆協会は、世界に誇る日本の漆文化を守り、後世に伝えるために国産漆の保存を呼びかけるため、その活動拠点として設立されました。
まとめ
漆のメディアを運営するにあたり日々情報収集につとめているのですが、方法を変える度に新しいブランドが見つかったり、既に終わってしまった展示や体験会が見つかったりと、日々試行錯誤しています。特に一時的なイベントは逃してしまうと次の開催がいつになるか分からないので、興味のある方は定期的にチェックしておきましょう。