僕が「遊び心シリーズ」を始めようと思ったきっかけは、入社したての時に「座興盃 橙」という商品を見たこと。小さな橙(だいだい)の形をした器の中に、3つの盃とサイコロが入っていて、サイコロで遊んだり唄を詠んだりしながら宴会を楽しめるように、というものなのですが、
それを見たとき、「ああ、食器って実用性が重要かと思ったけど、必ずしもそればかりじゃなくて、こういう遊び心があることって、とてもいいな」と感動したんです。それからというもの、そのように味のある、面白い商品を作りたいと心の奥でいつも思っていたんですね。 |
||
「遊び心シリーズ」として最初に作った「丸皿 てんとう虫」。これは、赤と黒で表現できる面白いものはなんだろう、と、ずっと考えていて出来上がった器です。
やはり漆器といいますと、黒と赤のイメージがあるでしょう。ですから、敢えてその黒と赤を使って「おっ」と思えるものが出来たら面白いかな、と。 |
||
「キャラメルボックス だるま」は、普通のだるまを描くのではなく、敢えて片目を抜いておくことで、ちょっと面白くなったのではないかなと思っています。 |
||
「丸皿 ハロウィン」は、最初みんなにすごく反対されていたのですが、どうしてもと無理を言って作りました。結局、沢山の方に買っていただいて。だいたい、僕のアイデアって最初は反対されることが多いんです。
でも、そうやって紆余曲折を経て作ったものを気に入っていただけると嬉しいですね。 |
||
「遊び心シリーズ」は、僕の思いつきというか、ふとしたひらめきで作るものなので、半年に一回とか決まった時期に出すものでもないのですが、ある程度定期的に新しいものが出せたらなと思っています。 やはり色々なバリエーションが豊かにあったほうが楽しいですから。 今のところは一目で違いがわかる、もの珍しい遊び心の商品が多いですけれど、これからはもう少し小技を利かせたものを作ってみたいとも思っています。 |
||
最近の食器って、汎用性が求められているといいますか、できるだけ色々なシーンに対応できるようにデザインされている器が多いですよね。昔はそうじゃなかったんです。 季節ごとに、その旬のお料理に合わせた器があって、器ごと楽しむといいますか。それって、すごく粋な遊び心じゃないですか。夏には夏の器、冬には冬の器を使うって。 ものづくりをする者として、そういうことを大事にしたいなと思っています。それは座興盃と出会ったときから今まで、様々な商品企画をする中でも常に感じていることですね。 |
||