今月の手土産
グラス龍
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扇面額 春秋

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フォトフレーム特集

僕が「遊び心シリーズ」を始めようと思ったきっかけは、入社したての時に「座興盃 橙」という商品を見たこと。小さな橙(だいだい)の形をした器の中に、3つの盃とサイコロが入っていて、サイコロで遊んだり唄を詠んだりしながら宴会を楽しめるように、というものなのですが、 それを見たとき、「ああ、食器って実用性が重要かと思ったけど、必ずしもそればかりじゃなくて、こういう遊び心があることって、とてもいいな」と感動したんです。それからというもの、そのように味のある、面白い商品を作りたいと心の奥でいつも思っていたんですね。

実は、「遊び心シリーズ」が誕生する前にも、そういう遊び心を取り入れた取り組みはしていて。例えば、「蒔絵万年筆 網目」は、漁師さんが使う網でハートを捕まえるような模様にして、遊び心を忍ばせてみたりしていました。そういう意味では、僕の中ではものづくりをする中で “遊び心”は常に意識していることですけれど、それをちゃんと名前を付けてシリーズ化することで、しっかり見える形として表すことができた。やっぱりその方が、お客様にもわかってもらいやすくなったのではないかなと思っています。

「遊び心シリーズ」として最初に作った「丸皿 てんとう虫」。これは、赤と黒で表現できる面白いものはなんだろう、と、ずっと考えていて出来上がった器です。 やはり漆器といいますと、黒と赤のイメージがあるでしょう。ですから、敢えてその黒と赤を使って「おっ」と思えるものが出来たら面白いかな、と。
丸皿 月うさぎ」は逆に、ひらめきで思いついたアイデアを形にしたものです。白漆で塗った、ほんのりとクリーム色の丸皿を眺めていた時に、お月様みたいで綺麗だなあと思ったので、 うさぎを描いてみました。黒や赤に比べて、白漆の漆器は現代ではあまりみかけませんけれども、もともとは良く漆器に使われていた色なんです。こういった器があることで、より身近に感じていただければと思っています。

漆器には、ハレの日の器や、儀式の器というイメージがあるので、最初は手に取りにくいこともあるかもしれません。ですので、この「遊び心シリーズ」などを通じて、「こういう使い方もあるんだ」ということが伝わり、 初めてのお客様にも気軽に手にとっていただきやすくなると嬉しいですね。

キャラメルボックス だるま」は、普通のだるまを描くのではなく、敢えて片目を抜いておくことで、ちょっと面白くなったのではないかなと思っています。
また、「大盃 金」も、形として見るといわゆる盃なので珍しくはないのですが、 こういうものがあったら盛り上がるのではないだろうか、ということを大切にして、思い切ってとても大きく作りました。実際、この前一度使ってみたら、すごく盛り上がった。
会社の忘年会とか、イベントごとなどで使っていただけるといいのではないでしょうか。

丸皿 ハロウィン」は、最初みんなにすごく反対されていたのですが、どうしてもと無理を言って作りました。結局、沢山の方に買っていただいて。だいたい、僕のアイデアって最初は反対されることが多いんです。 でも、そうやって紆余曲折を経て作ったものを気に入っていただけると嬉しいですね。
もちろん、ただ新しいものばかり作るのではいけないですが、漆器の良さや面白さをもっと沢山の方に楽しんでいただけますよう、当主としてチャレンジしていきたいと思っています。

「遊び心シリーズ」は、僕の思いつきというか、ふとしたひらめきで作るものなので、半年に一回とか決まった時期に出すものでもないのですが、ある程度定期的に新しいものが出せたらなと思っています。 やはり色々なバリエーションが豊かにあったほうが楽しいですから。 今のところは一目で違いがわかる、もの珍しい遊び心の商品が多いですけれど、これからはもう少し小技を利かせたものを作ってみたいとも思っています。

最近の食器って、汎用性が求められているといいますか、できるだけ色々なシーンに対応できるようにデザインされている器が多いですよね。昔はそうじゃなかったんです。 季節ごとに、その旬のお料理に合わせた器があって、器ごと楽しむといいますか。それって、すごく粋な遊び心じゃないですか。夏には夏の器、冬には冬の器を使うって。 ものづくりをする者として、そういうことを大事にしたいなと思っています。それは座興盃と出会ったときから今まで、様々な商品企画をする中でも常に感じていることですね。


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